◎本堂修復工事経過①
10月に入り、秋の気配が一層深まってまいりました。この度台風による甚大な被害を受けられている多くの方々にお見舞い申し上げます。
修復工事事務所においては、素屋根・足場・近隣に対する安全のための警戒態勢をしき、現場に詰めて逐一確認作業を行っております。なお天候等々により、瓦めくりは順次開始する予定です。
8月末日には、素屋根のトラスを吊るすために100トンものクレーンを用いました。このような大きなクレーンは、住宅地で目にする機会はあまりないかと思います。その為か、道行く人が関心を寄せていました。ご迷惑をおかけしますが、安全第一で進めていますので、ご協力ください。
9月初旬より素屋根の設置に取り掛かりました。職人の方々が急斜面に立ち、一枚一枚手作業でトタンを張り合わせ、約1ヶ月で本堂全体を覆うことができました。覆っているネットは落下や粉塵を防止する効果があります。ネットに覆われたことで完全に本堂が見えなくなりました。今後この中でどのような変化を遂げていくのか興味津々です。
秋季永代経の午後に、足場に上り屋根を間近で見ることができました。足場を上ってみると想像以上に高く、緻密に計算されて組まれた足場によって隅々まで見渡すことができました。遠くから見ているとあまりわからなかった瓦や建物の劣化を確認できました。また、これまで萬念寺を護持されてきた先人たちの歴史を肌で感じることができました。
瓦を数枚めくりあげると、乾燥された土が見られました。粘土の接着力で瓦を固定させる土葺きと呼ばれる工法によって屋根を葺いていたことが分かります。今回の修復工事ではこの乾燥された土を取り除き、瓦を直接固定させる工法に変えます。 そのため屋根全体の重量を大幅に軽減することができます。
現在の本堂内部は写真のとおり何もない状態です。畳も全て上げ、移動できない荘厳についてはビニールで覆うなどの養生が施してあります。何もない本堂はとても広く、人の気配が感じられない様は少し寂 しく思います。
◎12月2日は何の日?
皆さま12月2日は何の日か分かりますか? そうです、『日本人宇宙飛行記念日』です。
1990年にTBSの秋山豊寛記者がソ連の宇宙船に乗って日本人初の宇宙飛行に成功されたそうです。私自身日本人で初めて宇宙へ行った人物は毛利衛さんだと思っていましたが、違っていたのですね。毛利さんは日本人として初めてNASAのスペースシャトルに搭乗して宇宙飛行された方ということでした。
というのはさておき、萬念寺では12月2日に『報恩講』が厳修されます。そもそも『報恩講』とは、宗祖親鸞聖人のご命日を縁に勤められる浄土真宗で最も大切にされている法要です。親鸞聖人は、今からおよそ750年前の1262(弘長2)年11月28日に、90歳のご生涯を終えられました。報恩講は、親鸞聖人をはじめとして、「南無阿弥陀仏」のお念仏の教えを私たちの所にまで伝え届けてくださった多くの方々に思いをいたし、その恩徳に感謝し報いるための「報恩謝徳のお仏事」です。
親鸞聖人のご生涯は、越後への流罪や念仏弾圧というまさに命懸けのご苦労を伴う中で、自分ひとりが救われるのではなく、あらゆる人々が共に等しく救われていく道を求められ、阿弥陀仏の本願(私たち一人ひとりを必ず救おうという願い)に出遇われ、その教えを生涯を尽くして伝え続けていかれました。その教えのもとに数多くの念仏者が生まれ、またそこに連なる人々によって、時代や社会を越えて、いま私たちのところにまで教えが至り届いています。
親鸞聖人は、本願との出遇い、聖人にまで教えを届けてくれた先師に対して、次のような和讃をあらわされています。
如来大悲の恩徳は 身を粉にしても報ずべし
師主知識の恩徳も ほねをくだきても謝すべし
得か損か、良いか悪いか、役に立つか立たないかといった日常の相対的な価値観に執われ、ともすればあるがままの命の尊さを見失っている私たちにとって、『報恩講』という場はその生き方を教えに尋ねる仏法聴聞の機縁となることが願われているのではないでしょうか。
みなさんぜひ毎年12月2日は萬念寺へ足をお運びくださるようお願いいたします。
◎夏~秋の行事
- 8月28日(水) 廿八日講員・婦人会追弔会・おつとめおさらい会
- 9月28日(土) 定例
- 10月5日(土) 秋季永代経
ご参集いただいた皆さま、ありがとうございました。
おつとめおさらい会では、初めての試みとして子どもたちに調声と鏧を任せました。練習の成果もあってか、みんな自信をもってやっている姿はとても頼もしく感じられました。この姿勢が日常となることを願っています。